アメリカの大学で認められるAPとは何か?

今回は(海外)大学で認められるAP(Advanced Placement)の解説です。


AP(Advanced Placement) の概要

APはアドバンスドプレイスメント(Advanced Placement)の略称です。APはカレッジボードが提供するプログラムであり、高校生が大学レベルの授業を体験し、大学の単位も得られるというものです。

APの各授業は大学の入門科目の一学期分に相当しており、それを高校の一年間を通して学びます。一般的に西欧の学年末である5月に、学生は試験会場でAPの試験を受け、専門の審査官と経験豊富なAPの教師によって採点されます。

APのスコアは1から5でつけられます。5が最高得点で、3が合格点です。APの授業やスコアは生徒の学問に対する意欲や挑戦する力を示すため、大学に出願する際にも役立ちます。

 


▼APでの学び

APの授業は、高校生に大学レベルの内容を学ぶ機会を与えます。普通の高校レベルよりも勉強量が増えますが、一年間かけて行われるため学生はこなせる量だと感じるでしょう。

文系科目から理系科目まで様々な科目がありますが、学校によって受講可能な科目が異なる場合もあります。

もし特定の科目が学校で受講できない場合は、学生は独学し、その科目を扱っている試験場で受験することができます。テストに向けて学生が独学できるように、Barron’sやThe Princeton Reviewといった出版社が様々な参考書を出版しています。このように、APプログラムはSATのSubject Testとよく似ています。

また、APは大学で学び続けたいかどうか自信のない分野に触れてみる良い機会となるかもしれません。 APコースでは、テストに出題される決まったトピックについて学びますが、それは大学でのその分野における入門科目に相当します。

一般的に初めに生徒は科目の内容を学びます。終わりの方では、教師がテストスコアの基準や質問に答えるための様々なメソッドを説明し、生徒が準備万端で試験に臨めるよう、練習用の問題を配布します。

ほとんどの科目において、選択問題と自由回答のセクションがありますが、科目によってその分量が異なります。例えば、AP心理学のような内容が濃い科目では選択問題が100問と、自由回答のセクションでは2問長文の応用問題が出題されますが、選択問題の方に重きが置かれています。一方で、AP微積分ABでは選択問題が45問と6つの自由回答の問題があり、二つのセクションには同じくらいの重きが置かれています。


▼APのスコア

APのテストは5月に受験され、6月にスコアが発表されます。APスコアは初め素点として採点された後、他科目の点数の分布と比べられ、1から5のスコアがつけられます。

スコアは以下のように説明されます:

5: extremely well qualified (大学の単位取得の資格が非常にある)

4: well qualified (大学の単位取得の資格がとてもある)

3: qualified (大学の単位取得の資格がある)

2: possibly qualified (大学の単位取得の可能性がある) 1: no recommendation(大学の単位取得に推薦しない)

 


▼APスコアを大学の単位にできるすることが可能

学生はAPのスコアをコース修了の証明として、また大学の単位取得のために、大学出願時に提出することができます。APはアメリカの大学では単位取得において広く受け入れられているプログラムですが、どんな大学でもAPコースの存在やそれをやり終えることの難しさを認識しています。

アメリカ以外でもAPのスコアを受け入れ、単位を与えてくれる学校もいくつかあります。大体APスコアの4か5で生徒は入門科目の単位を取得できたり、必修科目が免除されたりします。APの授業を取れば取るほど、大学で多くの単位を取得し、大学のプログラムで先取りすることが可能です。


▼IB(国際バカロレア)との違い

APがIBプログラムと異なるのは、生徒が完全に自身の興味に基づいて授業を選ぶことができるという点です。

IBプログラムでは、Diplomaプログラムを選択した場合、様々な分野から3つのハイレベルと3つのスタンダードレベルのクラスを受けなければならず、そのほかにもTheory of Knowledgeといった必修科目も受けなければなりません。

APでは科目によってレベルの違い(AP微積分ABとさらに難しいAP微積分BC等)があるものの、学生は特定のレベルや分野から授業を取らなければならないといった要件はありません。授業の選択は完全に生徒に任されています。

またIBコースが2年間のプログラムなのに対してAPコースは1年間のみであるため、APの学習ペースは早く、内容が重いと感じる人がいるかもしれないという点を留意することは重要です。

 


▼APを受ける条件とオススメな人

プログラムの必要条件は学校によって異なりますが、通常APコースを受けるには高校のジュニアまたはシニアでなければなりません。場合によっては教師からの承認も必要です。ジュニアより前にAPの授業を受けたい場合は、高いGPAと良い成績、そして教師からの承認が必要になる可能性があります。一方で前述の通り、自分でAPのテストに向けて勉強し、独自で受験することも可能です。

APは自分の通う高校で大学レベルの授業を体験することができるプログラムです。それを通して、学生は大学の入門科目と同レベルの内容を学び、学問をより深く探究することができます。さらに、試験の厳しい構成から、学生は試験を受ける際のテクニックや内容を思い出したり応用したりする方法、試験中の時間配分などを学ぶことができます。そして、成績がよければ大学の単位を得ることもできます。

一方で、APのスコアは主にアメリカの大学によって単位認定されるため、どこの大学へ行きたいのかを考えておくことは大切です。アメリカ以外の大学では、APプログラムの存在や必要な努力について認識されても、単位は与えてもらえないかもしれません。しかし、例え単位がもらえなかったとしても、APは高校生が経験し学ぶにはよいプログラムでしょう。

 

※参考ウェブサイト
https://ap.collegeboard.org/

https://www.latimes.com/local/education/community/la-me-edu-a-parent-s-guide-to-ap-classes-20150922-story.html

https://apstudents.collegeboard.org/faqs/how-are-ap-exams-scored#:~:text=The%20free%2Dresponse%20section%20(essays,this%20section%20of%20the%20exam.