都立高校の入試で英語のスピーキング試験が2022年11月に初めて実施され、約8万人が受験する想定となっています。
それに対して、「教員ら」が導入反対の記者会見をしたようです。
【速報】都立高入試の英語スピーキングテスト 教員らが「導入反対」の記者会見
https://www.asahi.com/edua/article/14511460
▼スピーキングを入試にいれる意味
スピーキングを入試にいれるとどんな意味があるでしょうか。
日本の学校教育や勉強は、良い悪いを別にして、「受験」を中心に進んでいます。
受験で必要かどうか、受験で重要かどうか、が生徒の学習に大きな影響を与えます。
つまり、この争点は英語学習にスピーキングが重要かどうか、という一点です。
To be(あるべき姿)を考えて議論すると、スピーキングを重視しない、という結論はありえませんので、私はスピーキングを含めた英語4技能を受験で行う姿勢は大いに歓迎したいと思います。
▼中学受験の英語科目
学校教育ではこの先の議論として、中学受験の受験科目に英語が加わることが、子どもの英語教育においては、とても大きなポイントになると考えています。
毎日必死に中学受験のために勉強する小学生達に、受験科目でない英語に時間を割く余裕はありません。
YUBU CAMPでも中学受験を行う子どもは、小学生中高学年になると、受験勉強が忙しくなってきたので英語はそろそろ辞めます、ということが多いです。
現在の受験システムで熾烈な中学受験を勝ち抜くためにはしょうがないと思う一方で、受験のために英語学習を辞めなければいけない状況はとても残念に思います。
▼スピーキング試験のやり方に関しては熟慮を
受験に英語スピーキング試験を課すべきかと、それをどうやって行うか、という議論は別次元です。
例えばこの記事で、導入反対の最初の理由は公平な採点ができない、とありますが、これは後者の議論です。
前者の導入反対は論外ですが、後者のそれをどうやって実施するかの議論や準備が足りないという話であれば、そこはしっかりなされるべきです。
受験はスタートアップの新規事業ではありません。まず1回試しにやってみて、最初はうまくいかなくても毎年改善を、というものではありません。
受験生個人にとってはその1回が人生を左右する大切な出来事で、初回だから失敗しました、では性質上許されないものです。
▼スピーキング試験自体は特別なものではない
ご存じの通り、英語のスピーキング試験は、日本でも世界で色々な試験で行われているものです。
英検でも、TOEFLでも、TOEICでも、メジャーな試験でスピーキング試験の採点はフェアにできない、とか言っている試験はないですし、受験者はその結果を受け止めて自分の英語能力と認めています。
そうした事実と歴史がある中で、スピーキングの採点は高校入試でだけフェアにできないとか、もはや悲しい気持ちになります。
何も日本の都立高校入試が、世界初の難しい取り組みの試験をしようとしている訳ではないのです。
▼フェアで上手な英語スピーキング試験導入を
都立高入試において、実際の運用面での課題はもちろんあるとは思います。
もし試験がフェアにできないというならば、他の試験や取り組みを勉強して、どうやったらフェアにできるのかを真摯に考えて実行して欲しいです。
この反対記者会見をした団体が、どこまでに日本の学校の英語の先生達を代表しているのかは正直よくわかりません。実は多くの先生がスピーキング導入に賛成であれば、一部のこの団体の意見がこのような記事になっていることは、残念なミスリードでしょう。
受験で英語スピーキング試験を行うべきか、その問いがyesであれば、どうやってうまくやるかを考えて実行して欲しいと、切に願います。