【子どもの英語学習】CLIL(クリル)とは何か?

CLIL(クリル)という言葉を聞いたことがありますか?

実は子どもの英語学習、という文脈でも大切なキーワードなのです。

教育業界においては、新しい言葉というわけではありませんが、まだ一般的な単語ではないので、CLILについて説明します。

 

CLILとは

CLILとは、Content and Language Integrated Learningの略です。

そのコンセプトはシンプルに言うと、「英語を学ぶではなく、英語で学ぶ」です。

教科科目やテーマの内容(content)の学習、外国語(language)の学習を組み合わせた指導の総称であり、日本では、「クリル」「内容言語統合型学習」として呼ばれています。

中でも、英語を通して何かのテーマや科目(数学、理科、社会、音楽、体育、家庭科など)を学ぶ学習形態を指すことが多くなっています。

 

CLILの特徴

CLILの特徴は、以下の3つです。

①学習内容(content)の理解に重きを置く

②学習者の思考や学習スキル(cognition)に焦点を当てる

③学習者のコミュニケーション能力(communication)の育成や、文化(culture)あるいは相互文化(Interculture)の意識を高める

 

CLILの「4つのC」

では、CLILにはどのような要素が求められるのでしょうか。

ここではCLILの「4つのC」としてご紹介します。

 

①Communication(言語)

学習単元の言語(Language of learning)

学習のための言語(Language for learning)

偶発的・繰り返しの言語(Language through learning)

 

②Cognition(思考)

ブルームによる思考力の6段階に沿った学習が、最も有効だと言えます。

記憶 -> 理解 -> 応用 -> 分析 -> 評価 -> 創造

 

③Content(内容)

 

④Community(協同学習)

協同学習の最も小さい単位は教室ですが、世界に向けて学習の範囲を広げていきましょう。

教室 < 学校 < 町/市 < 地域 < 世界

 

CLILの実践例

この4要素を用いて、ある日本の小学校の外国語活動では、以下のような授業が試験的に実践されました。

  • 図画工作×英語「好きな動物を作ろう」

好きな色で好きな動物を紙粘土で作り、その過程で教師と英語でコミュニケーションをとります。

  • 図画工作×理科×英語「クラス動物園を作ろう」

生徒同士は英語で会話し協力し、動物を生息地ごとに分類してクラス動物園を作ります。

  • 社会×英語「野生動物たちが直面している問題を考えよう」

野生動物が直面している問題を理解し、解決策を考えます。言語や課題の難しさがありながらも、子どもたちは世界に向けて自分の意見を発信するツールとしての英語の重要性に気づき、アイデアを英語で書ききることができたと言います。

 

CLILの効果

実際にブリティッシュ・カウンシルによってスペインにCLILを導入した際、子どもたちには英語力のみならず、以下のような効果が得られたようです。

  • 全教科で集中力とリスニング力の向上
  • 認知技能の向上 ex) 質問する、要約する、予測する
  • 人生は「白と黒」で二分できるわけではないとの認識
  • 自立学習のスキル
  • 自信
  • 困難に立ち向かう能力と意欲
  • 世界の一員であるという意識


CLILは国際化に対応する語学力やマインドを養うことはもちろん、子どもたち自身の成長にも大きく繋がっているのです。

 

CLILの十大原理~CLILの活用

ここまでCLILの特徴、求められる要素、実践例、効果を見てきましたが、実際に子どもたちの学習にどのように活かしていけば良いのでしょうか。

そこで、学習のコツとして、CLILの十大原理をご紹介します。


【基本】

1 内容学習と語学学習の比重は1:1である。

 

【教材について】

2 オーセンティック素材(新聞、雑誌、ウエブサイトなど)を使う

3 文字だけでなく、音声、数字、視覚(図版や映像)で情報を与える

 

【学習方法について】

4 様々なレベルの思考力(暗記、理解、応用、分析、評価、創造)を活用する

5 タスクを多く与える

6 協同学習(ペアワークやグループ活動)を重視する

 

【指導について】

7 内容と言語の両面での学習を手助けする

8 異文化理解や国際問題の要素を入れる

9 四技能をバランスよく統合して使う

10 学習スキルを指導する

 

いかがでしょうか。

日本ではまだ導入が遅れているCLILですが、普段のお子様の学習に役立てられる要素もあるのではないでしょうか。

英語力に加えて内面の成長も得られる学習法として、ぜひお試しください。

 

参考

https://www.j-clil.com/clil

https://www.britishcouncil.jp/programmes/english-education/japan/report/new-english-study-method